MINAMIIZU PROJECT

HONODE WORKS南伊豆プロジェクトは壊すはずだったお家を、出来るだけ捨てるはずだった廃材を使ってリノベーションしています。
廃材から新しい価値を生み出す面白さとサステナビリティが共存しています。
廃棄物を減らし、クリエイティブなアプローチで楽しい空間を作り上げています。

壊すのもったいないじゃん
俺達だったら直せるんじゃないか
どうせなら捨てる廃材でさ、生き返らせようよ

南伊豆 差田
猟師の宿の一角に昭和に建てられた一軒の三角屋根の家がありました。
庭は荒れ果て、背丈ほどの草が伸び放題になっていました。屋根は劣化し、そこから雨が入り込んで家全体を蝕んでいました。床から土台にかけては雨漏りが原因で腐食が進み、天井裏には野生動物が入り込み、その痕跡が残されていました。壁は風雨にさらされて弱り、軒は傾き、縁側も斜めに歪んでいたのです。解体するしかないと、誰もが思っていました。

しかし、その家を前にして、私たちは心を動かされました。このまま捨ててしまうのは、あまりにも惜しい。
私たちは建築廃材を使ったアップサイクルを得意としています。この技術を活かして、この家を再び蘇らせることができるはずだと強く感じました。そして、ただ蘇らせるだけではなく、建築廃材を使って再建しようと決意したのです。捨てられる運命にあった家を、捨てられるはずの材料でよみがえらせる。この挑戦に、私たちは胸を躍らせました。
廃材、その一つ一つを見極め、新たな命を吹き込む準備を始めました。

建築現場で余った様々な種類の床材を使って新しい床を作ることにしました。ばらばらの床材を美しく見せるには、ただの技術だけでなく、センスが求められます。

各床材の色や質感、模様を見極め、一枚一枚慎重に選んで並べました。まるでパズルのように組み合わせ、丁寧に貼り付けていきます。手間と時間をかけて、少しずつ新しい空間を作り上げていきました。

それはまるで色とりどりのキルトのように、温かみと個性に溢れる可愛い床が出来上がりました。

プロジェクトはさらに進み、私たちは廃棄予定だった壁紙を使って天井を貼ることにしました。薄いグレーの壁紙は、まるでオーダーメイドのように空間にぴったりとマッチしました。その柔らかな色合いは、部屋全体に落ち着いた雰囲気をもたらし、新しい命が吹き込まれたようでした。トイレの壁には、余っていたジョリーパッドを塗りました。古い昭和の砂壁が、ナチュラルな仕上がりに変身しました。寝室では、引っ越しの際に不要となった竹のラグを再利用しました。畳の上に敷かれたラグは寝ころぶときもちのいいものとなりました。

古いステンレスの流しは、年数を重ねてぼろぼろになっていました。取り壊すかどうか悩みましたが再利用することにしました。流し部分はそのままに戸棚の劣化した部分に縦板を貼り、HINODEWORKSらしいデザインに仕上げました。
流しの横にある昭和の時代によく見られる合板プリントの壁は、剥がれや汚れが目立ちました。、縦板を貼ることで新しい表情を与えました。さらに、そのスペースを有効活用するために、棚とカウンターを作りました。これにより、ポットや掃除用具などを置ける実用的なスペースが生まれ、機能性も向上しました。

アップサイクルの力で家がどんどん元気を取り戻していく
新しい命が吹き込まれ、心地の良い空間に生まれ変わっていく。

ボロボロになり、下がってしまった縁側にはジャッキを使って修理を施し、前現場で余った板を貼り直しました。古い部分を取り除き、新しい板でしっかりと支え直すことで、縁側は再び安心して使えるようになりました。さらに、廃材として残っていた木材を巧みに再利用し、新たにウッドデッキを設置しました。

ここは、南伊豆猟師の宿。自然の中でジビエのバーベキューを楽しむことができます。デッキに集まる人々の笑い声と、焼きたてのジビエの香ばしい匂いが混ざり合い、特別な瞬間が生まれることでしょう。


チャームポイントだった赤い屋根はそのままにし、古びたイメージを与えていた茶色の外壁は思い切って黒へと変更しました。黒い壁と赤い屋根のコントラストが美しい、緑に映えるおしゃれな三角屋根の家へと変身しました。

ラストスパートはメンバーが集まりました。
まるで学生の合宿のようにみんなで布団を並べて泊まり、仕事の合間に南伊豆の師匠と共に狩猟体験やジビエの解体に挑戦し、南伊豆の美しい海や大地を見学するという貴重な体験が盛りだくさんでした。

生まれ変わり、再び輝きだす
新しい物語が始まる場所へ

もったいないから始まったプロジェクト、捨てられる運命にあったこの家は、アップサイクルの力で見事に蘇りました。廃材として見過ごされるはずだった材料が、アイデアと技術でで新たな素晴らしい空間を生み出しました。
みんなで作り上げたこの場所でワクワクするような南伊豆の魅力を最大限に引き出した楽しいことがこれからたくさん出来そうです。

静岡県賀茂郡南伊豆町入間61-1 民宿ことぶき